都合のいい相手という罪

わりと遊びなれている、というタイプの人間には、都合のいい相手、というものが少なからずいる。
ちょっと退屈なときに手ごろな相手、ということである。
無論本気には絶対にならない。

軽い恋愛の駆け引きを楽しむだけだ。
それも、自分がその気分を味わって楽しむ、というよりは、相手をその気にさせたという高揚感に酔いしれるのである。
その気になってしまう相手というのは、本気でその人間を好きな場合が往々にしてある。
都合のいい相手にされているとうすうす感じながらも、甘んじて受け入れるのである。
考えてみればこんな残酷なことはない。
本当に自分を好きでいてくれる相手を、そのときに気分で冷やかしているのだ。
だが、女だろうが男だろうが、この手合いは結構いる。
もしかしたら、自分自身無意識にこの手合いになっているかもしれない。
これが恋愛の恐ろしいところだ。
人間としての思いやりよりも、ゲーム感覚の部分が出てしまう。
だから、同性の友達としてはいいのに、異性に対しては最低な輩、というのもそれはもうたくさん存在するのである。
私も、この都合のいい相手になったこともあるし、最低な輩、になったこともある。
けれど、思い返してみるとこの記憶は、自分の人生の大きな汚点になっている。
相手に傷つけられたし、傷つけたこともある。
一人間として考えたときに、最低なことをしていた。
段々落ち着かなくてはいけない年齢になってきたこの頃、自分の行動に責任を持たないといけないと、今更ながらに思っている。
人生を振り返ったときに、謝らなくてはいけない相手を作りたくはない。

初めてのペアリングの淡い思い出

私は昔付き合っていた人からペアリングをもらいました。
お互いに初めて真剣に付き合う人で、今思うと可愛らしい恋愛をしていたと思います。
ちょうど時期はクリスマスで私は彼に何を買おうかととても悩んでいました。

秘密で買っておいてサプライズをしたいななどと考えていたのですが、彼からクリスマスプレゼントどうしたいと聞かれました。
何かを答える前にやっぱり指輪が欲しいよねと向こうから言われて驚いたのを覚えています。
そしててっきり私にだけ指輪をくれるのだと思いましたが、どうやら彼はペアリングを買うつもりだったらしいのです。
とても硬派な人で一緒にいるところすらあまり見られたがらない人だったので、指輪をするなんてとても意外でした。
どうやら彼はカップルの最初のプレゼントの機会はペアリングだと誰かに教えられたらしく、それを忠実に守ろうとしたらしいのです。
思わず笑ってしまいましたが、二人でペアリングを買うことにしました。
後日、その指輪を彼がしているのを見たときの嬉しさは今でも忘れません。
周りの友人にそれどうしたんだよとからかわれながらも、なんとなく嬉しそうにつけていてくれました。
その指輪はお別れをした時にお互い交換しました。
彼は私がつけていた指輪をどうしたのか知りませんが、私は1年後、そっと捨てました。
これ以上持っていてもこの指輪が彼の元に戻ることはないと思ったからです。
未練を断ち切るのに1年かかりましたが、今となってはとても微笑ましい思い出です。