キューピッド

高校1年生のときに、女子高の友達に地元の男の子を紹介した。
結局そのあと5年付き合うほどのカップルになったので、キューピッドとして私は嬉しかった。
しかし、5年間平和だったわけではない。

何度も何度も破局しては、次の週に復縁して、というような綱渡り状態だった。
私は紹介したところで役目を終えたキューピッドではなく、二人が仲良くたのしく過ごせるように導きたいと思っていた。
そんなお節介な所が災いして、悩み相談を二人から受けてストレスが溜まることが良くあった。

一番大変だったのは、彼の方から電話がかかってきて、別れ話をされたけど、別れたくないという悩み。
しばらく通話しているとキャッチホンがかかってきたので、保留にして出てみると、彼女の方からの着信だった。
「彼氏に別れ話したんだけど、よく分かっていないっぽいからまた別れ話しようと思うんだけど」という内容だった。

「いまキャッチホンだからまたかけるね」と力なく告げて電話を戻すと、彼の方が楽しいデートの話とかをしだした。
あぁ、もうすぐふられるのに可哀想…。
という思いを隠して、キューピッドの私はどうすれば良いか頭をフル回転させた。

そのときの対応、今でも間違っていなかったと思う。
彼の方には、「最初に出会ったときから、つきあえるようにアタックしたよね?また好きになってもらえるようにアタックしてみたら?」と伝えた。

彼女の方には、「自分の思いばかり話すのも良いけど、向こうの話に耳と心を傾けてね。」と伝えた。
双方から悩み相談を受けていたことは二人とも知らない。