百発百中の大成功
私の彼はカメラマン。
出版社に勤める私は、彼に仕事を依頼することも多かった。
プライベートでは同棲していて、周囲の仕事仲間も私たちの関係は知っている。
お互い結婚の意思も固まり始めたいわゆる“秒読み”段階だった。
うちの出版社は、年に1回別冊として家族向けの雑誌を出している。
もちろんその制作にも彼はカメラマンとして携わった。
子連れでも安心の夏のレジャー情報を紹介するため、小さなの子どもを連れた親子をモデルに海で撮影をしてきた彼は、その日の夜いつもと少し様子が違った。
「いま、めちゃくちゃ子どもが欲しい!」と興奮しながら私に熱く語った。
どうやら海ではしゃぐ子どもを見て、かわいくてかわいくてたまらなかったらしい。
そしてその日彼は本気で子作りをした。
普段は必ず避妊をしているけど、彼に迷いがなかったから私も拒まなかった。
避妊しなかったのはこの一度きりだった。
それから数週間、「もしかして妊娠した?」と思う事が重なり市販の妊娠検査薬で試しに調べてみると…なんと陽性反応!できた!?あの1回で!?嬉しかったものの、私も初めての事態に少し慌て、一足先に妊娠した同僚に状況報告。
「最近の検査薬は市販でもかなり性能がいいから、陽性なら99%妊娠確実だって先生が言ってた」とのことで、数日後産婦人科へ行くと見事胎(たい)嚢(のう)を確認。妊娠成立していた。
それからは親に挨拶、結納、入籍とあっという間に事が進んだ。
「これが“できちゃった結婚”かぁ」と浸りつつ、慌ただしく結婚式も済ませた。
そして数ヵ月後に無事出産。
産まれた我が子は本当に天使のようにかわいい。
彼のあの日の興奮に感謝。