好きな人と会う時にご飯が食べられない
私は昔、意中の人とご飯にいくと、雀の涙程しか食べられなかった。
緊張のせいなのか、おなかはすかないし飲み込めないし、割り勘にするのがいやなほどにものが食べられなかった。
ちょっと聞くと乙女心全開のようでかわいらしいような気もするが、これは最悪の症状だ。
好きな人とご飯を食べられない、ということは、今後の発展はありえない。
少なくとも、私の場合、向かい合った状態でばくばく食べられない相手だと、自分の素が出せる日は来ない。
まず、年がら年中気取っていないといけないということだ。
口の周りに何か付いたらどうしよう、と考えると、ミートソースやクリームは無理。
ラーメンも却下。
ハンバーガーなんかもってのほかだ。
おにぎりだって、もし歯にのりがついていて、気づかないでにっこり微笑んでしまった日にはこの世の終わりだ。
そう考えるから、本当に私はものが食べられない。
そうなると、相手だって食べないやつと食事に行ったって、楽しいことなど何一つないから段々会わなくなる。
そうして終わっていくのだ。
こうして羅列しているだけで、なんと悲しいのだろう。
その時の自分を慰めてやりたい。
ところで、最近では少しずつ改善策を編み出してきた。
まず、はじめから向かい合わないカウンター狙い。
そして、アルコールに頼る。
多少酔いが回れば、多少のことはどうでも良くなる。
この策のおかげで、私は大分気張らないでいられるようになった。
それはそれでよいのだが、最近はそのアルコールのせいで(私は酒癖が悪い)、逆に相手に引かれてしまう、という新しい悩みが出てきた。
これは深刻で、一度へまをすると二度と会ってもらえない。
だから今度は、自分の性格を見直すという、根源治療をはじめようかと思っている。