陰徳と積善

今読んでいる本は、知り合いの教授が出版した仏教の教えに関する作品。
あまり宗教に関する知識がないのですが、小学生にも分かるように簡単に意訳してあります。
中国の明の時代にいたお坊さんの教えを、自分の息子に遺すために書いた父親の半生について書かれています。

当時、家柄とは関係なく、努力や学校の成績次第では出世できる時代で、この父親は大変な努力を重ねていったようです。
主に書かれているのは陰徳と積善について。
陰徳は砕けて解釈すると、「ひっそりと良いことをする」こと。

「これは、私がやり遂げたんですよ!」とひけらかすのではなく、陰で行うこと。
積善は字のごとく、善を積んでいくこと。
小さなことでも善いことを積み重ねていくことの大切さを説いています。

仏教と、いうかまさに親の教えというかんじですよね。
この父親は易経によって、53歳で死ぬし、子に恵まれないと言われたが、陰徳と積善を重ねることによって長生きしたそうです。

定められた運命を変えるのは自分しかいない、ということに気がついて、奥さんと共に善い行いを記帳しては、奉納していたそうです。
時代は違えど、今でも充分通ずるはなしですよね。

私にとっては陰徳が難しいなと感じます。
つい善いことをしたらソーシャルネットワークサービスやブログに「今日は少し良いことできたかな!」とか堂々と書いてしまいます。

みんなにコメントをしてもらいたくて書いているような、陰徳とはかけ離れています。
縁のなかったジャンルの書籍ですが、これを出版したからとくださった教授は、遠回しに私に教えたかったのかもしれません。

カルマ

皆さんはカルマを信じますか?
カルマとは、日本語で「業」と言われますね。
良い行為に対しては、良い結果がもたらされ、悪い行為に対しては、悪い結果がもたらされる、という意味です。

古代インドの思想らしいですが、仏教にも「因果応報」という思想があります。
私は、人が苦しんだり、悩んだり、何かうまくいかないことがあるのは、カルマが原因だと考えています。
肉体は、死んでしまえば終わりですが、魂は永遠です。
理不尽かもしれませんが、前世の善悪の行いによって、現世の環境に影響があるということです。
自分で悪い種を蒔いてしまえば、必ず刈らねばならないのです。
自分がしてしまった悪行は全て自分に返ってきます。
自分が行った善行も全て自分に返ってくるのです。
人生がなかなかうまくいかないと感じている人は、日ごろの行いを振り返ってみるといいのではないでしょうか。
もしかしたら、現世ではきちんと良い行為ばかりしながら生きている!という方も、前世での悪行のために、今苦しいのかもしれません。
現世に生きて生活している間にでも、魂を磨くことは出来ます。
自分がされていやなことはしない、嘘をつかない、家族や友人を大事にする、など、本当に当たり前のことですが、それを当たり前に出来る人が、良い人生を歩めるのではないでしょうか。
「過去を知りたければ、今の人生を見よ、未来を知りたければ、今の人生を見よ。」という釈迦の言葉があります。
カルマによって辛い人生だと思えても、それは自分に与えられた試練なんだと納得して、立派に生きていらっしゃる方も大勢います。
自分の行いには常に最善を尽くしたいものです。